数日前にパニック障害により活動を休止する芸能人について報道されていました。

臨床でパニック障害に悩む人を診る機会が増えていることもあって、いろいろな文献に目を通していたところでした。

もしかしたら、どこかで誰かの役に立つかも知れないので、まとまっている範囲ですが、記事にしてみます。

パニック障害とは?

「不安障害」という大きいカテゴリの中に、この『パニック障害』が分類されています。一昔前は「神経症」と呼ばれていて、その後、アメリカの精神医学会の分類で、この「パニック障害」という病名が使われるようになりました。

日本における調査では、100人中 3,4 人がパニック障害の経験を持っていると言われています。女性は男性の 3倍の割合で発症していて、年齢層は20代から30代に多いと言われています。

どんな症状なの?

急激な発作が特徴として挙げられます。激しい不安症状が急激に出現して、動悸、手足の震え、冷や汗、呼吸が乱れなどの症状に襲われることが多いようです。

パニック症状の現れ方として「① 不意に起こるパターン」、「② 状況に応じて起こるパターン」、「③  ①と②の中間のパターン」に分類されます。

パニック障害と思われる症状を複数回経験すると、「また、発作が起きたらどうしよう・・・」という不安を覚えることが多くなります。それが、さらに症状を引き起こす引き金になることも珍しくありません。

その原因は?

パニック障害の明確な原因は現時点で科学的には解明されていません。

しかしながら、脳ドッグでも使われる PETスキャンという画像診断において、感情や記憶、認知機能に関係する「扁桃体」や「海馬」や「青斑核」、そして小脳や脳幹に過活動(過剰に活動している状態)が見つかったとの報告があります。

これは、脳の機能障害がパニック障害を引き起こしていることを示唆しています。今後、原因の解明に向け、研究が進捗することを期待したいと思います。

パニック障害の治療法

一般的に「薬物療法」と「心理療法」によってアプローチすることが多いようです。

薬物療法は SSRI (抗うつ薬)を用いることが多く、効果がでるまで時間がかかることから長期的に薬を服用することが多いようです。

また、SSRI(抗うつ薬) は急に服用をやめることによる断薬症状があらわれることもあるので、薬を服用する必要があるのか慎重に見極めていくことが欠かせません。

心理療法においては思考を変えていく「認知療法」や、不安な状況にあえて身を置く「行動療法」があり、これも一長一短があります。

心理療法は薬物療法と比較して、身体そのものにかかる負担が少ない治療法になりますので、治療リスクというのは、ほとんどないように思います。

パニック障害の心理療法(認知行動療法、曝露療法、自律訓練法)について

パニック障害と栄養

パニック障害に至る要因には諸説いろいろあります。その中で栄養面の問題が近年指摘されることが多くなってきました。特に「鉄分不足」がパニック障害と関係していることが多いようです。

うつやパニック障害などに悩む人のほとんどに鉄分不足(フェリチン低下)が見られ、栄養面を改善することで多くの患者さんが回復しているとの報告があります。

パニック障害は女性に多く、女性は生理や出産など、男性と比較して鉄分が不足しやすいため、西洋医学にはない「栄養面からアプローチする」という観点は患者さんに有益になることが多いように思われます。

ただし、単純に鉄分だけ摂取すれば解決する問題でもないように感じています。例えば、炎症時には鉄分の吸収が悪くなりやすく、その状況下で過度に鉄分を摂取することの問題も一部報告されています。

また、鉄分だけ摂取していればいいのではなく、高ビタミン、高タンパク質、糖質制限を合わせて行うなどの必要もあるため、医師や管理栄養士の管理下で介入する方が安全で確実です。

第3の選択肢として

投薬、心理療法の他に第3の選択肢として徒手療法でアプローチすることが挙げられます。

構造的な異常があると身体的な機能にも、その影響が派生します。その前提で、見つかった構造的な問題を調整することによって、からだが正常に働くようになり、症状の改善が見られます。

パニック障害に悩む人のからだの特徴として、首や頭部、そして胸部の過緊張が見受けられます。

首にある「頚動脈」や「椎骨動脈」は首から頭の中に入っていく血管です。この動脈は、パニック障害で問題として挙げられる小脳や脳幹部に血液を供給しています。

また、首の緊張は胸椎と呼ばれる背骨の一部とも関係していて、その部分は交感神経と深い繋がりがあります。

そうした、身体の繋がりで捉えてみると、パニック障害を改善させるヒントが見つかるかも知れません。

治療を受ける前に・・・

先述したように、抗うつ薬などの精神安定剤は長期に服用することが多く、心身へのダメージが懸念されます。致し方なく服用するとしても必要最小限に留めておくことが賢明です。

また、徒手療法を受ける前に重篤な問題がないか、先ずは病院で診断を仰いでいただくことをお勧めします。

 


(参考資料)

これで治せる!パニック障害(貝谷 久宣 著)
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった(藤川 徳美 著)
分子栄養学による治療、症例集 (藤川 徳美 著)
電車に乗れない人たち (松本 桂樹 著)
パニック障害の薬物治療と脳機能画像(PET)検査
Am J Clin Nutr. 2010 Dec;92(6):1406-15
病気がみえる  脳・神経


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