Fascia(膜・筋膜)は身体全体にわたる張力ネットワークを形成しています。ここ30〜40年ほどで筋膜に関係する研究や論文が急増していることからも分かるように、あらゆる筋・神経・内臓などを覆って連結している筋膜に注目が集まっています。

頭から足まで全身タイツで覆われている姿をイメージするといいかも知れません。内臓も筋膜で覆われていますので何重もタイツを重ね着しているような感じでしょうか。

例えば帝王切開で出産したケース。下腹部を切開する時に筋膜も同時にメスを入れます。無事に元気な赤ちゃんが生まれ開腹したお腹を閉じます。この時に切開した筋膜が元通りになるかと言えばそうではありません。

上の画像は手術後4週経過した靭帯です。A は未処置で B が未処置の筋膜に対してアプローチした後の靭帯です。未処置の状態で時間が経過していくと(筋膜の状態によっては)癒着が広がり、その癒着が原因で痛みを引き起こすなんてことが考えられます。

もちろん手術をした方が全てそうなる訳ではありません。ただ、一見関係なさそうな過去の手術や骨折や脱臼などの外傷が痛みと関係してくることも珍しくないことは知っておいても損はないでしょう。

運動発達の連続性

子宮内の胎児→ 出生後の四つ這い→ 体側性のハイハイ → 立位と成長過程で脊柱の彎曲の形成とともに筋膜も変化していきます。

例えば出産時に鉗子や吸引など強い外力が加わって生まれた場合、膜にもストレスがかかります。その影響が成長過程で身体にとってリスク要因になることも考えられます。

ルビンの壺

身体は全ては繋がっていることを理解すると身体や症状に対して別の視点で診ることができるようになってきます。奥が深いですね。