骨代謝とは骨の形成と吸収のバランスを指します。このプロセスは体の骨組織を健康に保つために重要であり変形性股関節症の保存的治療においても欠かせない視点です。

骨代謝が低下すると骨密度が減少し骨折のリスクが高まります。骨代謝の低下には様々な要因が影響しますが、その中でもホルモンの役割は非常に重要です。この記事では骨代謝低下とホルモンの関係について解説します。

骨代謝とホルモンの基本

ホルモンは体内の多くのプロセスを調整する化学物質であり骨代謝もその一つです。骨代謝に影響を与える主なホルモンには以下のものがあります

1. **エストロゲン**: 主に女性の体内で産生されるエストロゲンは骨の形成を促進し骨吸収を抑制します。閉経後、エストロゲンの分泌が減少すると骨密度が急激に低下することがあります。

2. **テストステロン**: 男性ホルモンであるテストステロンも骨の健康に寄与します。年齢とともにテストステロンのレベルが低下すると、男性でも骨密度の減少が見られます。

3. **パラトルモン(PTH)**: 副甲状腺から分泌されるこのホルモンは、血中カルシウム濃度を調整するために骨吸収を促進します。PTHの過剰分泌は骨代謝を過度に活性化し、骨密度の減少を引き起こします。

4. **カルシトニン**: 甲状腺から分泌されるカルシトニンは、PTHと反対の作用を持ち、骨吸収を抑制します。このホルモンの分泌が低下すると骨密度の維持が困難になります。

5. **成長ホルモン**: 成長ホルモンは、骨の成長と再生を促進します。加齢とともに成長ホルモンの分泌が減少すると骨形成も減少します。

骨代謝低下の原因とホルモンの影響

骨代謝が低下する原因にはいくつかの要因がありますが、その多くはホルモンの変動に関連しています。

  • 閉経とエストロゲン
    女性は閉経後にエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンは骨吸収を抑制する作用があるため、その分泌が減少すると骨吸収が増加し、骨密度が低下します。このため閉経後の女性は骨粗鬆症のリスクが高まります。
  • 加齢とテストステロン
    男性の場合、加齢に伴ってテストステロンの分泌が減少します。テストステロンは骨形成を促進するため、その減少は骨密度の低下を引き起こします。
  • パラトルモンの過剰分泌
    パラトルモンは、血中カルシウム濃度を維持するために骨吸収を促進します。しかし、過剰に分泌されると骨の吸収が過度に進み骨密度が低下します。副甲状腺機能亢進症などの疾患が原因でPTHが過剰に分泌されることがあります。

まとめ

骨代謝は健康な骨の維持に不可欠なプロセスであり、ホルモンの影響を強く受けます。特にエストロゲンやテストステロン、パラトルモンなどのホルモンが骨代謝に重要な役割を果たしています。これらのホルモンのバランスを保つことが、骨代謝の低下を防ぎ骨の健康を維持するために必要です。