コロナ禍における環境変化が影響しているのかパニック障害の相談が増えています。今まで何気なくしていた行動がキッカケになるため些細なことでも不安に感じてしまい徐々に行動範囲が狭くなってしまうケースも少なくありません。

ここではパニック障害に対してどういう視点で捉えているのか、またそのアプローチについてまとめています。ご相談に来られる前に参考にしていただければ幸いです。

投薬治療のリスクを考慮する

パニック障害は脳・脳神経のトラブルです。トラブルが起こってしまうと電車に乗る、会議に参加する、美容室に行く、など環境や行動がトリガーとなり症状が襲ってくるようになります。

パニック障害は心療内科で治療を受けるのが一般的です。心療内科では基本的に投薬治療を行います。そして、症状が改善するにしたがって暴露療法を行うことが多いようです。

投薬治療は抗不安薬や SSRI と呼ばれる脳の伝達物質に働きかける薬が処方されることが多く、薬による介入は治療効果が早く現れることもあれば、そうでないこともあります。

投薬治療は抗不安薬や SSRI と呼ばれる脳の伝達物質に働きかける薬が処方されることが多く、薬による介入は治療効果が早く現れることもあれば、そうでないこともあります。

ともすればパニック障害の治療は薬による介入が最善かといえば決してそうではないと考えています。脳や脳神経の機能や構造を理解することで薬以外の改善方法を提案することが可能となります。

徒手療法によるアプローチ 目的と理由

パニック障害を改善させるには身体が本来有している機能を促進させる必要があります。具体的には自律神経の機能向上と血液循環の改善です。私が施術で重視しているのがこの領域です。

そして何より薬を長期に服用することは身体にとって大きな負担になりますので手を使って神経系にアプローチする徒手療法が身体にとって安全な改善方法だと考えています。

自律神経には交感神経系と副交感神経系があります。交感神経は興奮や緊張に関係し、副交感神経は抑制(リラックス)に関係する。この辺は一般的に説明されることでもあるのでご存知の方が多いのではないでしょうか。

しかしながら、この旧来の理論を立脚点にするとパニック障害に対応することが難しくなってしまいます。

交感神経、副交感神経は神経の固有名称ではなく、交感神経に属する神経、副交感神経に属する神経があります。そして、副交感神経に属する神経として重要になるのが「迷走神経(めいそうしんけい)」です。

この迷走神経は2系統あり、その2系統の働きを立脚点とすることがパニック障害を改善させるためには欠かせない視点になります。

迷走神経の機能を向上させる

迷走神経は自然治癒力の「屋台骨」になる神経です。迷走神経が正常に機能しなくなると呼吸が浅くなる、心臓の鼓動が激しくなる、頭の中が真っ白になるなどの身体的な症状が現れます。

一般的にパニック障害で見られる症状の多くが、この迷走神経が正常に働いていない時に現れる身体症状になります。また、睡眠が浅くなる、起床後に身体がダルくて動けないなどの症状も起こる傾向があります。

迷走神経は自律神経の一部です。迷走神経が正常に機能しないことがトリガーとなり交感神経にもその影響が及んでしまいます。

臨床例に基づいて

パニック障害と診断され SSRI (抗うつ薬)を処方されていた Tさん。Tさんはパニック障害の他に睡眠障害がありました。特に起床後だるくて暫く起き上がることができないという問題がありました。

この状態で身体の中でどのようなことが起こっているのでしょうか?その理解が乏しいと服用している薬が Tさんにとって有用か分かりません。

現在 Tさんはパニック障害もなければ睡眠障害もありません。そのキッカケとなったのが長年服用していた抗うつ薬をやめることでした。

ともすれば薬を止めれば問題が解決するようにも見えますが決してそういう訳ではありません。自律神経が今どのような状況なのか身体を通して把握した上で適切なタイミングで減薬する必要があります。

パニック障害を解決させる大きなファクターとして自律神経、特に迷走神経に着目しているのはこうした理由があるからです。心療内科で処方される薬の多くは自律神経に作用します。薬による化学的な変化よりもリスクが少なく安全なのが徒手療法によるアプローチだと考えている理由がここにあります。

違いが分かる3つの特徴

人の身体に関する仕事を始めて15年近く経ちます。そして現在の治療室を構えて12年目を迎えることができました。

世の中には多種多様な手法、考えがあります。同じ症状に対しても、それぞれが個性を打ち出してアプローチしています。多くの同業者がいる中で、私の特徴が分かるように他との違いを 3つ挙げてみます。

1, 専門的な教育を受けている国家資格取得者が施術

国家資格(柔道整復師)を取得するために専門的な教育を 3年間受けています。その後、整形外科や整骨院で臨床経験を積み、開業してから12年経ちます。また、脳や脳神経に関係する頭部や頚部(首)は学校教育や臨床経験だけでは補いきれない専門性の高い領域になります。知識と技術のアッップデートのため国内や海外(カナダ)の講習に参加して理解を深めています。

2, 神経にアプローチするため無痛

施術は痛みを全く伴いません。痛い=効いてると思われる方もいますが、痛いと感じる施術は解剖学・生理学的な観点からも身体に負担を掛けるリスクが高い手法です。採用している技術は神経系にアプローチしているためリラックスして施術を受けていただけます。老若男女、世代に関係なく喜んでいただいています。


3, 無理なく通える施術間隔 

神経にアプローチするため、その場で劇的にということを目的としていません。施術間隔を一定期間(2週間前後)あけて、その間に生理学的な反応で少しずつ心身が整っていくことを重視しています。また施術後の状態を維持・安定させることを目的に自宅で簡単に行えるセルフケアを指導しています。症状の回復とともに施術間隔を徐々にあけていき社会復帰、生活の質を向上させていくきます。

減薬、そして薬が必要のない生活に

最終的に薬に頼ることなく電車に乗る、美容室に行く、ショッピングを楽しむ、などの今までできていた当たり前の日常に戻ることがゴールです。

とは言え、薬を長期間服用している場合はいきなり 0 にしてしまうと、その反動が身体に出ることが多いことも考慮する必要があります。減薬する場合は身体の反応を確認しながら段階的に減らしていくことが必要です。

個人差がありますが最初のうちは徒手療法と薬の両輪で。症状の改善傾向を確認した上で段階的に減薬していきます。そして、最終的に薬を服用せずに社会復帰する人が殆どです。

パニック障害は脳神経系のトラブルです。身体から読み取れる情報をもとに継続的にアプローチすることで症状が改善していきます。お困りの方は遠慮なくご相談ください。

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