変形性股関節症は日本で特に高齢者に多く見られる疾患です。日本整形外科学会によると日本の50歳以上の人口の約7〜8%が変形性股関節症を抱えているとされています。保存療法として薬物療法や物理療法、エクササイズ療法が一般的に用いられますが、近年注目を集めているのがノルディックウォーキングです。ノルディックウォーキングは、ポールを使って全身を動かすウォーキングスタイルで股関節痛のリハビリに非常に有効とされています。以下にその理由と具体的な効果を紹介します。
ノルディックウォーキングのメリット
- 関節への負担軽減
ノルディックウォーキングは、ポールを使用することで体重が分散され、股関節への負担が軽減されます。これにより痛みを感じることなく効果的な運動が可能となります。研究によれば、ノルディックウォーキングは通常のウォーキングに比べて股関節や膝への圧力を軽減し関節痛の軽減に寄与することが確認されています 。 - 筋力と柔軟性の向上
ノルディックウォーキングは股関節周辺の筋肉を強化し柔軟性を向上させます。特に股関節を支える大腿四頭筋やハムストリングス、殿部(お尻)の筋肉を効果的に鍛えることができます。これにより関節の安定性が増し痛みの軽減と再発防止に役立ちます 。 - 心肺機能の向上
ノルディックウォーキングは全身運動であるため心肺機能の向上にも寄与します。心肺機能が向上することで全身の血流が改善され股関節周辺の組織にも十分な酸素と栄養が供給されるようになります。これにより炎症の軽減や回復の促進が期待できます。 - バランスと安定性の向上
ポールを使用することで歩行時のバランスが向上し転倒のリスクが軽減されます。特に高齢者や股関節痛を抱える患者にとってバランス感覚の向上は重要な要素であり、日常生活の質を向上させます。
ノルディックウォーキングの実践方法
- 適切なポールの選定
ポールの長さは、肘が90度に曲がる高さが適しています。専門店で自分に合ったポールを選ぶことが重要です。 - 正しいフォームの維持
姿勢を正しく保ち腕を自然に振りながら歩くことがポイントです。ポールを前方に突き出し、地面を押すように歩くことで効果が最大化されます。 - 無理のない範囲での実践
初心者は短い距離から始め徐々に距離や速度を増やしていくことが推奨されます。また、痛みが強い場合は無理をせず専門家の指導を受けることが大切です。
股関節痛の保存療法としてノルディックウォーキングを取り入れることで痛みの軽減や機能の向上が期待できます。専門家の指導のもと無理のない範囲で継続することが大切です。