オステオパシーの特徴

オステオパシーは アメリカの医師 A.T.スティルが1874年に創始した自然医学です。

解剖学や生理学を中心とした基礎医学に基づき、身体の構造的な異常、機能的な障害を見つけ出し、解消することで自然治癒力を引き出します。

施術は低刺激なものが多く、幼児から高齢者まで、老若男女どなたでも安心して施術を受けることができます。


オステオパシーの歴史

19世紀当時、瀉血を始めとした治療の安全性や効果について疑問が抱かれていました。その環境下で最愛の 3人の子どもを髄膜炎で亡くすという悲劇的な出来事を A.T.スティルは経験しました。そして、医師という立場から、治らない患者を目の当たりにして、生と死、健康と病気の謎を解明する探求に乗り出しました。

スティル博士は医療に限らず、哲学や地質学、進化生物学から聖書まで、幅広く研究し、統合した上で新しい結論を導いていました。また、父が伝道師であり、スティル博士自身もネイティブアメリカンと交流していた背景もあって、精神と霊魂について独自の信念を有していました。

オステオパシーの歴史を見ると、それは平坦なものではなかったようです。現代医学における正統派信仰と既得権に挑戦することで、 15年の間、嘲笑と迫害に耐えていました。

伝統的なものは少しずつ文明の波に飲まれていく傾向にあります。抗生物質による救命や現代薬理学の複雑化、技術進歩などにより、医学が新しいもの支持する流れにあります。

そのような文化、環境の中で、伝統的な治療法や実践を捨てていく一方、オステオパシーは創始者の意志を引き継ぐ一部の者たちによって現在も脈々と引き継がれています。


オステオパシーの考え方・原理原則

オステオパシーには基本となる 4つの原理原則があります。

原則1原則2原則3原則4

1, 身体は一つのユニット(単位)である。一人の人間とは、「身体」、「心」、「精神」の単位である

オステオパシーでは「腰」、「首」、「足」というように身体をパーツごとに分けずに、すべてが1つに繋がったシステムとして評価・診断を行います。また、物質的な身体の背後には、心、精神との繋がりがあり、これらすべてが調和することが健全に繋がる道であると考えています。病気や症状に対してではなく、一人の人間(生命)として、これら繋がりを考慮しながら施術を行います。

2, 身体は自己調節、自己治癒、健康維持能力を持っている

人には自然治癒力が内在しています。身体、心、精神が調和が取れることにより、この内在している自然治癒力が発揮されると考えています。「身体の内部には健康を維持する能力がある。もし、この能力を正しく認識し、正常に保つことができれば、病気を予防することも治療することも可能である」。A.T.スティル博士はこう述べています。また、現代医学の父と言われているヒポクラテスも「人間は誰でも身体の中に100人の名医を持っている」という言葉を残しているように、この原則はオステオパシーに限らず、古から伝わる普遍的な原理とも言えます。

3, 構造と機能は相互に関与している

身体の構造が変化することによって、それに関係する機能に影響を与えると考えています。また、その逆に、機能が改善することによって、構造にも、その影響が派生すると考えています。例えば、腸への血管運動に障害があると、腸の消化吸収機能が衰えて、その影響が神経の反射(機能異常)として筋肉を緊張させ(構造変化)、結果、腰痛を引き起こすということもあります。このように、構造と機能は相互に関係しているという前提のもと、再び調和を取り戻すよう、身体に働きかけていきます。

4, 合理的な治療は、「身体の調和」、「自己調節」、「構造と機能の相互関係」の基礎的な原理に基づいている

オステオパシーでは合理的な治療を行うために上記3つの原則を踏まえて行う必要があります。

病気や各種症状は結果として表出しているものであって、原因は構造と機能の不調による内在する治癒力の低下と考えます。オステオパシーを実践する施術者は、基礎医学を礎に、不調和から調和の方向へ導く役割があります。