オステオパシーは哲学です。
哲学とは学問です。

オステオパシーとは単なる治療技術ではなく一つの哲学的な視点に基づいています。この哲学は身体の全体性、自律的な自己治癒力、そして構造(形)と機能の密接な関係を重視します。

オステオパシーの創始者であるアンドリュー・テイラー・スティル(Andrew Taylor Still)は自身の経験からこの哲学を形作りました。彼は自身の子どもたちを感染症で失った深い悲しみをきっかけに従来の医学の限界を痛感し新たな医療の道を模索しました。この探求の過程で身体の自然治癒力を引き出すことこそが真の医療であると確信しオステオパシーを体系化しました。

スティルが提唱した哲学の中核には次の3つの理念があります:

  1. 身体は全体として機能する
    身体の構造(骨格、筋肉、臓器など)と機能(循環、神経系など)は相互に依存しています。このため一部の障害が全体に影響を及ぼすと考えられます。
  2. 身体は自己治癒力を持つ
    健康な状態を維持するためには身体自身が持つ自己調節能力を最大限に活用する必要があります。
  3. 治療は身体の自然なプロセスを支援するべき
    医師や治療家の役割は、身体が持つ自然な治癒力を助けることにあるとされます。

スティルの哲学は今日のオステオパシーにも受け継がれています。この哲学的なアプローチは患者を単なる症状の集合体としてではなく一個の統合された存在として理解することを求めます。