●オステオパシーの歴史
19世紀当時、瀉血を始めとした治療の安全性や効果について疑問が抱かれていました。その環境下で最愛の 3人の子どもを髄膜炎で亡くすという悲劇的な出来事を A.T.スティルは経験しました。そして、医師という立場から、治らない患者を目の当たりにして、生と死、健康と病気の謎を解明する探求に乗り出しました。
スティル博士は医療に限らず、哲学や地質学、進化生物学から聖書まで、幅広く研究し、統合した上で新しい結論を導いていました。また、父が伝道師であり、スティル博士自身もネイティブアメリカンと交流していた背景もあって、精神と霊魂について独自の信念を有していました。
オステオパシーの歴史を見ると、それは平坦なものではなかったようです。現代医学における正統派信仰と既得権に挑戦することで、 15年の間、嘲笑と迫害に耐えていました。
伝統的なものは少しずつ文明の波に飲まれていく傾向にあります。
抗生物質による救命や現代薬理学の複雑化、技術進歩などにより、医学が新しいもの支持する流れの中で伝統的な治療法や実践を捨てていく一方、オステオパシーは創始者の意志を引き継ぐ者たちによって現在も脈々と受け継がれています。